特別編
子育てに悩みながらも今を楽しむ
~黒のカリスマからの熱きメッセージ~
蝶野正洋さん
特別編となる今回は黒のカリスマと呼ばれる、蝶野正洋さんが登場。
最近はタレント業のみならず防災や子育て講演会にも精力的で、しかもお父様は松山市出身、お母様は大洲市出身。自身も年に一回はお墓参りで来松すると聞いて、親近感を覚える愛媛県民の方も多いのではないでしょうか。
- パパPROFILE
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- 蝶野正洋さん
- 56歳、プロレスラー、アリストトリスト有限会社代表取締役、公益財団法人 日本消防協会「消防応援団」
- 13歳の息子と10歳の娘のパパ
- X(旧Twitter)アカウント
@masahirochono(外部リンク)
(1) 家族円満の秘訣はイーブンな関係
家ではどんなパパなんですか?
「ウチはみんな、けっこう平等な感じがしますね。ママが悪い時は子どもたちが、ママ! ダメじゃないか、俺が悪い時はパパ! ダメじゃないかって。こっちも子どもたちが悪い時はダメじゃないかと、自由にやりあってる関係ですね。子どもたちも10歳と13歳くらいになってくると、ほとんど大人に近いじゃないですか。だから自分たちが悪いことをすると、たとえば所定の時間に遅れたりとか、学校行事のこととか、提出物ができてないといった親の責任があるところは、ちゃんとやりなさいと言ってくる(笑)。そういう感じだから、こっちもごめんごめんという関係ですね」
でも、やさしいパパとは言われているんじゃないですか?
「でも、やらなきゃいけないことをやんなかったりとか、約束破ったりという、怒らなきゃいけない立場の時はちゃんと怒ります。普段は友だち関係に近い感じで、それはちっちゃい頃からですね」
怒り方という部分で、コツみたいなものってありますか?
「それは子どもの成長に合わせて。幼稚園の時なんかは集団生活のコミュニティの取り方がまだわからない時にはやっぱり上からこうだという言い方をしてあげるけれども、小学校高学年になってきたら考え方はそんなに大人と変わらない。で、コミュニティという点で言えば、小学校の40人くらいのクラスと中小企業の会社のチームも変わんないですよね。そこらへんは同じような感じで話を聞いて、こういう問題があるんだけどと言うので、これは会社と同じだなと。その時は自分が会社で話すのと同じような感じで話をするんですよ。たまに、妹に問題がある場合は、お兄ちゃんはどうすんの? と聞いてみるんですけど、自分よりもお兄ちゃんの方が妹に目線が近いじゃないですか。逆にお兄ちゃんが困ってる時なんかは、妹に対して、どういうふうにやってあげたらいいの? と聞いてみたり」
いい関係ですよね。
「ウチはそんな感じです。自分がすべてのアドバイスをできるわけではないし」
お子さんの発言を聞いていて、この子たちも大人になったなぁと思う瞬間はありますか?
「いゃあけっこう、うちの長男は幼稚園の時から支持率を取りたいとか言っていて、おまえ、なんだ? って(笑)。ある日、泣いてたんですよね。そしたら、グループでライバル関係の人気のある子がいて、友だちがこっちについた、あっちについたという派閥みたいなことをやってる。それで裏切られたというので落ち込んでるから、そうか、なおとく(注:息子)はそういうことに興味があるんだなと(笑)。でも、下の女の子はそういうことにまったく興味がないんですよ。いまだに仲のいい友達は一人いるかいないかくらいでそんなにオープンじゃないんですよ。家に帰ってきても、自分のやりたいことをやっている自分の時間が一番大切というか。でも、家で家族4人がいる時は下の子が一番しゃべるんですよ。主張してくる。まぁ、人それぞれですね」
(2) 子どもたちに向けた言葉が自分たちに跳ね返ってくる
写真提供:愛媛県男女共同参画センター
蝶野さんにとっての子育てを、漢字一文字で表すと?
「まぁ、勉強じゃないですかね。勉強の『勉』。自分たちだって同じように勉強させてもらいましたからね」
どちらかと言えば『学』ですかね?
「あー、そうかもしんない。学ぶ方、『学』ですかね。昔はドラキュラみたいな生活してたのが変わってきて、やっぱり健康とかも気をつけるようになりました。子どもに対しても、ちゃんと睡眠を取りなさい、やらなくてはいけないことはちゃんとやりましょう、とか。やっぱり言ってることがちゃんと自分たちに跳ね返ってくるわけじゃないですか(笑)。それはありますよね。」
しつけの部分で蝶野家のルール、これはやっちゃいけないというのはありますか?
「手を出したりはまずないし、俺も親父に手を出されたことはなかったんですよ。だから唯一、手を出してるのは年末のテレビ番組くらいで(笑)。まぁ、好きなことやっていいけども、人に迷惑はかけるな。それは子どもが小さい時から言ってますね」
奥様はドイツ出身ですけど、子育てでドイツ流を取り入れたりは?
「ウチのママはお婆ちゃん子で育ってて、お母さんとは複雑な関係で、あまりいい環境ではなかったんですよ。だから小さい時から自立しなきゃいけない、家族から白い目で見られているなかで背伸びして生きていたので、自分の子どもにはそういう想いをさせたくない、あたたかい家庭を作りたいというのがすごい強くて、けっこう甘えん坊な育て方をしようとするんですよ。ドイツでは二十歳くらいになったら家から追い出す、早く自立させるというのがあるんですけど、うちはいまだに4人でベッドに川の字で寝てますからね(笑)。最近ようやく、ベッドルームを分けようという話になって、なおみちゃん(注:娘)は一人で自分のベッドに寝なさいというくらいで、ドイツ流は全然入ってないですね」
(3) オンとオフで切り替えることが肝心
蝶野さん自身は子育てにも積極的だったんですよね?
「そうですね。でも、ほとんどの部分はママが中心にやってくれるだろうというのがありますよね。そんなかでサポートできるレベルで。自分が主導権を持って何かをというよりは、ママが中心になっちゃいますよね」
子育てに取り組んでいるお父さんは何かしらの悩みを抱えていると思うんですけど、何かアドバイスするとしたら?
「それはね、悩んでいいと思います。仕事と両立ができねえとか言う人もいますけど、その時期しかないわけだし。で、それを楽しむ。振り返ると、子どもに手がかかる忙しい時期って小学校低学年くらいまでですよね。ましてや男の子は3、4歳くらいになったら自分で男子用トイレに行きたいと言い出しますよね。お母さんにしたら、一人でトイレに行って大丈夫なの?という心配があるけど、ああいう想いも2、3年したらなくなっちゃうし。それはそれで今を楽しむべきなのかなという感じはしますけどね」
とはいえ、なんでこんなことをやらなければいけないのか?というネガティブな感情が生まれることも多々ありますよね。それをプラスにするには?
「それも経験なのかなという感じですよね」
経験を重ねるにつれマイナスが0になり、やがてはプラスになる?
「基本、自分なんかは表に出る商売なんで、外からのイメージを崩すとかっていうのを切り替えないといけないですからね。リングの蝶野とオフの蝶野を自分が切り替えてても、当初は周りからはそう見られないところが気になったり。ただ、そこはあんまり気にする必要もなくって、要は、蝶野さんが乳母車押して子どもと散歩しているのはイメージダウンだと?そんなのくそ食らえ、というくらいの感じでいいと思うんですけどね」
細かいことは気にするなという?
「そうですよね」
ありがとうございました。
かつてプロレスからさまざまなことを学んだ時と同じように、子育てに取り組み始めてからの蝶野さんは子どもたちから多くのことを学ぼうとしています。そのために必要なのは子どもたちとのイーブンな関係性やオンとオフの切り替えで、それらがあるからこそ子育ての苦労を面白おかしく話したり、ファンとの記念撮影にも気軽に応じることができるのです。2019年12月に愛媛県男女共同参画センターで開催された講演でも独自の子育て論を展開。講演直後に行ったインタビューは、蝶野イズム全開の内容で、最後の「悩んでもいいから今を楽しめ!」というメッセージも、子育てに奮闘するパパの背中を力強く後押ししてくれるものでした。
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