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行政

2020/05/29

愛媛県内における新型コロナウイルス感染症の状況及びお願いについて

県民・事業者の皆様へ

令和2年5月29日 愛媛県知事 中村 時広

愛媛県内における新型コロナウイルス感染症の状況及びお願いについて

新型コロナウイルスに対する特別措置法に基づく国の緊急事態宣言が、5月25日に首都圏 (埼玉、千葉、東京、神奈川)及び北海道で解除され、4月7日から一か月半ぶりに全ての都道 府県で解除されました。国では、緊急事態宣言の解除後は、一定の移行期間を設け、外出の自粛 や施設の使用制限の要請等を緩和しつつ、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていきたい としています。 本県では、5月14日に緊急事態宣言の対象区域から解除されましたが、医療機関のクラスタ ー事例の発生等を踏まえ、「感染第二波への対処戦略」に基づく「警戒期」にあたると判断し、 5月31日までは、特別措置法に基づく行動自粛要請や休業協力要請等を継続してきました。 県内では、5月の大型連休後、松山市内の医療機関でクラスター(集団感染)が確認されまし たが、関係者の特定と囲い込みは完了しており、現在のところ県内で市中感染の兆候も見られま せん。しかしながら、全国的な緊急事態宣言解除後の影響は不透明であり、北九州市等では新た なクラスターが発生するなど感染第二波の懸念も払しょくできないことから、6月1日以降も、 引き続き「警戒期」を継続します。ただし、県民生活や経済活動とのバランスも考慮し、5月 25日に国が「基本的対処方針」で示した段階的緩和のステップも踏まえ、6月18日までの 約3週間を「縮小期に向けた移行期間」と位置付け、自粛要請等を緩和することとします。 現在の本県の感染状況等と、今後、具体的にどのような行動をお願いしたいのかをまとめまし たので、ぜひご一読いただき、県内での感染拡大防止対策にご協力をお願いします。

1.本県の感染状況及び対応状況

5月12日の陽性確認を端緒に、新たに19事例目として医療機関内でのクラスターが確認さ れました。県では、感染確認直後から、松山市保健所と連携して、医療機関や関係する高齢者施 設等の全面的な協力を得て、関係者の調査・特定とPCR検査を迅速に実施し、自宅待機の要請 による徹底的な「囲い込み」を行ってきました。さらに、県内の感染症の専門家や厚生労働省の クラスター対策班からの指導・助言を得て、医療機関内の感染経路等の把握と感染拡大防止に取 り組むとともに、全国DPAT(災害派遣精神医療チーム)や県内DMAT(災害派遣医療チー ム)、県看護協会等から医師、看護師等の応援派遣をいただき、医療機関の運営支援を行ってき ました。 これまでに1事例として本県最多となる約460名の関係者に対するPCR検査を行い、自 宅待機要請等による「囲い込み」は完了し、現在、濃厚接触者の健康観察による「封じ込め」 を行っています。この事例からの地域への感染拡大は防ぐことができていると考えています。 また、この19事例目を除けば、新しい事例は4月21日以降、大型連休から3週間が経過し た現時点においても、なお発生しておらず、県内で市中感染が広がっているような兆候は見られ ません。

2.本県の感染拡大防止体制の強化

これまで、感染が確認された患者を受け入れる病床として、感染症指定医療機関等で70床を 確保していましたが、今後、感染第二波が発生した場合の感染者の大幅な増加に備え、重症化の 恐れのない患者を病棟単位で受け入れる「重点医療機関」を確保するため、県調整本部の搬送コーディネーターを中心に県内の医療機関に対して協力を要請してきた結果、県内7つの医療機関 を重点医療機関として指定するなど、全体で203床を確保することができました。 これにより、重症者を治療する集中治療室15床を含め、重症化の可能性のある病床が、感 染症指定医療機関を中心に43床、中等症及び軽症者向けの重点医療機関が160床となり、 さらに軽症者や無症状者のための宿泊療養施設についても、既に運用している67室とは別に、 さらに50室程度を確保する合意も整っており、感染者の状態に応じて約320人の受入れが 可能となっています。 また、PCR検査についても、現在、県立衛生環境研究所において2台の検査装置で検査を実 施していますが、今後の感染第二波に備え、6月から2台を増設するとともに、検査人員も愛 媛大学及び松山市からさらに応援をいただくなど、PCR検査体制を強化する予定です。

3.6月1日以降の自粛要請等について

前述のとおり、19事例目の医療機関のクラスターについては、関係者の特定と囲い込みが完 了するとともに、4月21日以降、それ以外の新たな感染事例は発生しておらず、県内での市中 感染の兆候も見られない状況です。しかしながら、県の「感染第二波への対処戦略」に定める「警 戒期」から「縮小期」への移行の3つの指標のうち、「入院患者数10人未満」の指標について は、現時点で満たしておらず(5月29日現在23人)、北九州市で感染経路が不明な事例が多 発しているほか、首都圏でも新たにクラスターが発生するなど、感染第二波を疑われる事例が発 生しており、一気に警戒が緩まないよう、なお慎重に注意を払う必要があります。 このため、本県では、6月1日から6月18日までは、「感染警戒期」のうち、「縮小期に向 けた移行期間」とさせていただきますので、県民・事業者の皆様には、次の事項について引き 続きご協力をいただきますようお願いします。

【県民の行動自粛】 これまで、県をまたぐ移動、特に感染拡大地域(国が指定する特定警戒都道府県)への外出に ついては、自粛をお願いしてきました。6月1日からは、県外一般への外出自粛の要請はしま せんが、首都圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)や北海道などの特定警戒都道府県であったとこ ろや、北九州市など現在感染が拡大している地域へ外出される場合には、くれぐれも感染リス クに注意して行動していただくようにお願いします。 また、県内、県外を問わず、外出の際には、密閉、密集、密接の3密回避には常に気をつけ てください。ただし、3密対策が難しいキャバレーや風俗店、過去にクラスターが発生した場 所への外出については、引き続き自粛をお願いします。

以上を踏まえ、県民の皆様には、次のとおり「感染拡大回避行動」として心がけていただく ようにお願いします。 〔感染拡大回避行動〕 ◇「うつらないよう自己防衛!」 こまめな手洗いや定期的な換気、十分な栄養と休養で健康管理 など ◇「うつさないよう周りに配慮!」 体調不良のときは自宅療養、他人と接するときは距離をとる など ◇「県外の外出注意と3密回避!」 首都圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)や北海道、その他感染が拡大している地域や、 3密対策が難しいキャバレーや風俗店等は特に注意 など

【観光の振興】 「縮小期への移行期間」においては、経済活動の再開も慎重に進めていく必要があります。特 に自粛の影響が大きかった観光については、3密回避などの基本的な感染防止策を徹底した上で、 まずは、県内観光の振興から徐々に取り組んでいきます。

【イベント等の実施】 全国的な大規模イベント等は引き続き自粛を要請しますが、それ以外のイベント等について は、今回、人数要件を緩和し、屋内であれば参加者100人以下かつ収容定員の50%以下の もの、屋外であれば参加者200人以下かつ人と人とが十分な間隔をとれるものについては、 感染防止対策を講じたうえで、開催することができます。

【事業者の皆様へのお願い】 事業者の皆様には個別の要請は行いませんが、特にサービス業を始めとした事業については、 これまで実施していただいている ・適切な入場制限や一方通行の誘導 ・行列位置の指定や、人との距離を適切にとること ・扉や共用部の定期的な消毒や衛生管理 ・対面時のパーティション設置 などの3密回避の取り組みは今後も継続していただき、各事業所の通常のスタイルとして定着 していただくようお願いします。 また、現在、業界団体が中心となって、業種別の感染拡大予防ガイドラインの整備が進められ ておりますので、各事業者の皆様は、事業実施にあたってこのガイドラインを必ず実践してい ただくようお願いします。 なお、6月1日以降の新たな方針を踏まえ、県では、県職員の県外出張の取扱いを次のとおり としました。企業・団体等の皆様におかれましても、愛媛県内における感染拡大防止の観点から、 ご参考としてください。

〔県職員の県外出張の取扱い〕 県外への出張については自粛を緩和するが、不要不急の用務や、訪問することなくテレビ 会議などで代替可能な用務については、中止・延期又は、訪問や参集によらない代替手段で の実施を検討すること。 また、真に必要な用務についても、感染拡大回避行動を心がけ、特に首都圏(埼玉県、千 葉県、東京都、神奈川県)及び北海道はもとより、感染拡大地域への出張の場合には、用務 上、必要のない行動(夜の街への外出、不特定多数が訪れる場所や混雑する店舗といった感 染の危険性が高い場所への立入等)は厳に慎むとともに、移動中や移動先における感染防止 のための適切な行動管理を行うこと。 なお、今後は、帰県後の自宅待機は原則不要であるが、感染拡大地域等からの帰県後2週 間は、不特定多数との接触を控える、密閉した場所での会議等に出席しない、至近距離での 会話をしないなど、万が一に備えた感染拡大予防対策を特に徹底するとともに、少しでも体 調に異変を感じた場合には、直ちに職場に連絡すること。

【えひめ版協力金等】 事業者の前向きな取り組みを支援する「えひめ版協力金」のうち、1事業者あたり5万円の3 密回避協力金については、対象期間を5月31日までとしていましたが、「縮小期に向けた移行 期間」に合わせて6月18日まで延長することとしたのでご活用ください。

また、業界団体による業種別ガイドラインの周知や、積極的な取組みの宣言など、業界を挙げ た自主的な活動を支援するため、新たに「ガイドライン活動推進補助金」を創設します。さらに、 各業界団体が、ガイドラインを実践するに当たってのサポートを行うため、えひめ産業振興財団 に支援員を設置することとしていますので、こちらもぜひご活用ください。

【遊興・遊技施設への休業要請】 4月17日からの長期にわたる休業要請に適切に対応していただいた遊興・遊技施設の事業者 の皆様には、改めてお礼を申し上げます。6月1日からは、特措法に基づく休業要請は行いませ んが、3密が発生しやすい業態であることには変わりないことから、引き続き、次の感染拡大 防止対策の徹底や、業界団体が整備を進めている業種別ガイドラインの実践に取り組んでいた だくことをお願いします。 ◇対策1:ウイルスを持ち込まない ・発熱等の症状のある方に対して、利用の自粛を呼びかける ・発熱等の症状のある従業員は休暇を取得させる など ◇対策2:ウイルスを広げない ・感染者が発生した場合に備えて利用者の連絡先を把握する 又は ・不特定多数のクラスター発生の懸念がある場合、店名等を公表し利用者に呼びかける ◇対策3:「3密」を回避する ・3密を回避するため、施設の環境整備、来客数の制限等の措置、利用者への協力要請、 従業員の感染予防策等を講じる ※対策1~3を実施していることを店舗に掲示する

【県立学校】 県立学校については、5月25日(月)から、高等学校、中等教育学校、特別支援学校ともに 全校で通常授業を再開しましたが、3密となりやすい「実習・実技等」については、現在、活 動を制限しています。今後、地域ごとの感染状況に変化がなければ、これを段階的に緩和して いきながら、6月22日(月)を目途に通常活動に移行する予定です。 また、現在は個人練習等に限定して活動している「部活動」についても、2週間刻みで段階 的に緩和していきます。

【県管理施設】 県管理施設については、適切かつ施設の状況に応じた感染拡大防止対策を講じた上で、原則開 館します。

【医療機関・高齢者施設等】 医療機関・高齢者施設等は、万一、感染者が発生した場合には、患者・入所者の重症化や、ク ラスター発生等のリスクが大きい施設です。面会については、これまでと同様、緊急やむを得 ない場合を除き制限させていただきたいので、各施設の設置者には適切な対応をお願いします。


【駅・港・空港等の対応】 これまで、自粛要請等に合わせて、松山空港で4月20日から実施してきた来県者の検温につ きましては、全国で緊急事態宣言が解除されたことを踏まえ、5月31日をもって終了します。
ただし、交通結節点となる空港やJR駅、フェリーターミナルで行っているポスター掲示やア ナウンス放送は、注意喚起のため、当分の間、継続させていただきます。


4.患者や関係者の方々の人権尊重について

日本の感染症対策は、1897 年に「伝染病予防法」が制定されて以降、およそ 100 年間、大幅 な見直しがなされずにいました。かつての伝染病予防は、患者の方々を隔離し、その人権よりも、 社会を守るという考え方が中心とされてきました。その後、1999 年に伝染病予防法が廃止され、 新しい感染症法である「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行され ました。法律の名称としても、「患者の医療」という考え方が明記されるなど、患者の人権を尊 重する内容が盛り込まれました。しかし、感染者の人権尊重は、行政による主体的な動きという よりも、薬害エイズ訴訟の和解やハンセン病患者の強制隔離を定めた「らい予防法」の違憲訴訟 など、感染症そのものに苦しんだだけでなく、人権を侵害された患者団体やその支援者の皆さん の動きであったことを、私たちは忘れてはなりません。愛媛県では、こうした過去の反省に立 ち、新型コロナウイルス感染症への対処を行う中でも、患者の方々の人権を傷つけてはならな いと考えています。 新型コロナウイルスは未知の部分が多く、より情報を得たい、感染者の属性や行動範囲の詳細 を知りたい、県はより多くの情報を示すべきだという声を多数いただいています。 しかし、生活範囲や行動歴が公開されれば、「あそこに近寄らなければ大丈夫だ」「自分は遠 くだから関係ない」との誤った思い込みにもつながりかねません。医療機関での集団感染以外 の、新たな事例は確認されていませんが、ウイルスは目に見えず、感染がなくなったという保証 はないのです。県内はおろか、国内のどんな場所でも、感染の危険がなくなったわけではありま せん。 感染症の専門家の方々のお話でも、県からも何度もお伝えしているとおり、マスクを着用す ること、手洗いを徹底すること、3密の場を回避することが、このウイルスを避けるための最 も効果的な方法であることは変わりません。感染された方の個人情報を公開しなければ、手洗 いや3密回避はできないのでしょうか。 また、感染された方に対する保健所の調査は、行動歴等を一般に公表するためではなく、感染 経路をたどり、他の方々への感染拡大を防ぐために行うものです。行動歴を一般に公表され、そ の行動に非難を受けるのであれば、誰が保健所の調査に応じよう、正直に回答しようと思うでし ょうか。感染された方の属性や行動歴などの公開は、個人が特定されない範囲で行うことを約束 したうえで、調査に応じていただいていることをご理解ください。個人情報まで公表すれば、 保健所の聞き取りが困難となり、結果として、感染経路や関係者の特定が難しくなり、感染予 防を行う力を弱めてしまいます。 さらに、感染された方のみならず、感染が確認されてもいない濃厚接触者について、個人を特 定しようとしたり、遠ざけようとする風潮が見られることは、とても残念なことです。 これまで感染が確認された様々な事例で、濃厚接触者等の関係者の特定・囲い込みと、健康観 察による封じ込めを行ってまいりました。しかし、これらは行政が強制的に関係者を隔離するも のではなく、任意の自宅待機の要請に対し、地域の方々への感染拡大を防ぐべく、あくまで関係 者の理解と任意のご協力の下、実践いただいているものに他なりません。 同じように、入院先等の医療機関を特定しようという動きも、悲しいことです。 個別の医療機関名が知られたことにより、風評被害等による収入の減少や、医療機関の職員や そのご家族に対する誹謗中傷が発生しています。県民の皆さんへの医療を守るため、多くの医療 機関が協力いただいています。個別の医療機関名を公表することは、医療従事者を守るためにも、 こうした施設の協力を得るためにも、何も効果がありません。 感染拡大を防ぐことと、感染された方々、その関係者の特定を防ぎ、人権を尊重することの 双方のバランスを考え、県として適当と考えられる情報は積極的に公表しておりますことをご 理解いただきますようお願いします。

5.最後に

各都道府県の自粛要請等が解除され、全国的に緩和ムードが広がっていますが、世の中に新型 コロナウイルスは依然として存在しています。本県でも、今後も散発的な陽性確認は当然あると 思わなければなりません。県民の皆様には、本県は現在も警戒期であることを念頭に、「感染拡 大回避行動」や「県外の外出注意と3密回避」に心がけてください。 なお、自粛の影響が大きかった観光については、まずは県内観光の振興から徐々に取り組んで いきますので、県民の皆様には、3密に気を付けながら、県内各地の観光地にお出かけください。 医療や介護・福祉をはじめ、公共交通や物流、スーパーや小売、清掃など、感染リスクに直面 しながら地域の生活基盤を支える方々の献身的な取組みに対して、感謝と応援の気持ちをメッセ ージ動画で届ける「愛顔を守ろう!頑張るあなたを応援キャンペーン」を民放各社とタイアップ して展開していますので、ぜひご覧ください。 また、とりわけ感染リスクの高い医療の最前線で懸命に活躍いただいている医療従事者の方々 に対して、直接、県民の皆様から感謝と応援の気持ちを伝えていただきたいことから、本日から、 “みきゃん”が医療関係者を象徴する色である“青色”のハートを抱えたデザインを活用した応 援キャンペーンを始めました。具体的な応援方法は県のホームページをご覧ください。

県では、引き続き全庁あげて感染拡大の防止に力を注ぐ所存です。今後とも、県民や事業者等 の皆様の一層の御理解と御協力をお願いします。

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